「そうか。料理、食えてるか? 俺が何か取ってくるが?」
「ううん……! 私はあとでーーっ!」
ぐぅ、と大きな腹の虫が鳴いてしまった。
翡翠くんの顔色を伺おうとは思わないけど、お腹減ってるとかは隠したい。恥ずかしいんだもん……!
「……先に食っといた方が良さそうだ」
「〜っ!」
恥ずかしさで顔に熱が集まった。
「わ、私のことは気にしないで……!」
「いや、本当食っておいた方が良い。だって、今日は」
翡翠くんの話を聞いていたら、ドン!ドン!と大きな音が聞こえた。
みんなの視線が空に向かった。
大きな花火が打ち上がった。
これは、文化祭の前夜祭がスタートする合図。
「さぁ、今年も始まりました! みなさん、料理やお話は楽しんでますかー!?」
中等部の生徒会長が合図すると、場がわぁあっと盛り上がった。
「うんうん、大盛り上がりですね! さてさて、この辺りで一度今回の前夜祭のメイン主催者! 村崎会長からお話を承ります!」
会長がそう言うと、みんなの注目が集まってる中央の舞台上に、バッととても明るいスポットライトが当てられた。
「パ、パパ……!」
ヒラヒラと手を振り、周囲に愛想を振り撒いているパパ。
そうだ。今年の前夜祭、パパが仕切ってるんだった。

