無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?


 ♡♡♡

「ーーこんなに早く帰るの、久しぶり」

 今日は、誰にも気づかれないようにこっそりと家に帰ってきた。家に帰るなり、ベッドにダイブして枕に顔を埋めた。

 今まで、先生やみんなの手伝いをしていた。
 でも、今は黄山くんがみんなの手伝いをしてる。いつしか、彼は女の子だけでなく男子とも仲良くなり、馴染んでいた。

 私のやることは少なくなって、全部終わって帰って来ちゃった。
 やる事がないと、また翡翠くん達のことを思い出しちゃう。

 私は、翡翠くんが好き。それなのに、黄山くんの言葉を拒まなくて……。

 この思いを早く伝えて、正式に婚約をーー。

 そう思っていたら、カバンに入れたままのスマホからお気に入りの音楽が流れた。電話だ。誰だろ?
 そう思い、スマホの画面を見ると。

「ひ、翡翠くん……!?」

 思いを伝えないと。
 そう思っていた矢先に電話がかかってきたけれどーーさすがに早すぎる。心の準備なんて一つもできてない。

 えぇい! 出るだけ出ちゃえ……!
 そう思い、受信ボタンを押した。

「も、もしもしーー」

『紫、突然悪い。電話して大丈夫だったか?』

 全然大丈夫じゃなかったけど、私は首を横に振った。

「大丈夫だよ……!」

 まるで、目の前に翡翠くんがいて、彼と会話をしているかのよう。