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「ーーこんなに早く帰るの、久しぶり」
今日は、誰にも気づかれないようにこっそりと家に帰ってきた。家に帰るなり、ベッドにダイブして枕に顔を埋めた。
今まで、先生やみんなの手伝いをしていた。
でも、今は黄山くんがみんなの手伝いをしてる。いつしか、彼は女の子だけでなく男子とも仲良くなり、馴染んでいた。
私のやることは少なくなって、全部終わって帰って来ちゃった。
やる事がないと、また翡翠くん達のことを思い出しちゃう。
私は、翡翠くんが好き。それなのに、黄山くんの言葉を拒まなくて……。
この思いを早く伝えて、正式に婚約をーー。
そう思っていたら、カバンに入れたままのスマホからお気に入りの音楽が流れた。電話だ。誰だろ?
そう思い、スマホの画面を見ると。
「ひ、翡翠くん……!?」
思いを伝えないと。
そう思っていた矢先に電話がかかってきたけれどーーさすがに早すぎる。心の準備なんて一つもできてない。
えぇい! 出るだけ出ちゃえ……!
そう思い、受信ボタンを押した。
「も、もしもしーー」
『紫、突然悪い。電話して大丈夫だったか?』
全然大丈夫じゃなかったけど、私は首を横に振った。
「大丈夫だよ……!」
まるで、目の前に翡翠くんがいて、彼と会話をしているかのよう。

