「あぁ、すみません。あまりに美しい方だったから、ずっと見ていたいとーーボクの願望が強く働いてしまった」

「は、はぁ……」

 キラキラと輝かしい笑顔を浮かべる彼。
 少女漫画の世界からやって来た王子様みたいーー。

「それ、ボクが運ぶよ。女の子に、力仕事は似合わない」

 そう言うと、私の持っていた物をひょいっと軽々持つ彼。

「えっ!? で、でも……」

「気にしないで。キミは、ボクの隣で運ぶ場所まで案内をしてくれないか。本来なら、女性をエスコートしたいところだけど、ボクはこの学校の仕組みに詳しくないからね」

 困った顔をする彼。一緒に歩き始めた。

 ここは、幼稚園から大学まである学園。ほとんどの生徒が幼稚園から通っている。高等部、大学から外部進学者は多いけれどーー彼の制服は、中等部のもの。

 彼は、一体ーー?

「あっ。荷物はここで大丈夫です」

「そうかい? それじゃあ、ボクはここで。理事長室へ行かないといけないから」

 キラキラと輝く笑顔で爽やかに手を振る彼。
 ーーとっても、良い人。

 人に親切にされるのって、ありがたいし嬉しい。これからも人のために行動しなきゃ。