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「うっ……」
数十分後。買った物は大きく、視界を奪う。重くはないけれど、片道は十分もかからなかった。しかし、帰り道は人にぶつかったり転んだらしないよう細心の注意を払っていたから、時間がかかってしまった。
でも、荷物の横から少し見える景色は見覚えがある。もう、学校へ戻ってきたのだ。これなら、もうそんなに気をつけなくてもーー。
「わっ」
油断した瞬間、段差につまずいてしまった。
ーー転んじゃう! せっかく買ってきたものが……!
襲ってくるであろう痛みに、きゅっと強く目を閉じた。
ーーが。
「あ、あれ……?」
全く痛みがこない。むしろ前に倒れると思っていたのに、肩に手を置かれてーー支えられてる?
重力に逆らっている現象に、恐る恐る目を開けると。
「お嬢さん。危ないところでしたね」
「っ!?」
目の前には、カッコいい人がすごく近い距離にいた。
金色の髪に、澄んだ青色の瞳。通った鼻筋。
外国人? でも、さっき普通に話してた。
こんな状況に、私は固まってしまった。
まるで、世界の時間が止まったかのような沈黙が続いた。
「あ、あの……」
恐る恐る声をかけると、彼が目を細めて微笑んだ。

