今思えば、学級委員としてクラスメイトの俺の面倒を見てくれただけだろう。でも、あの日から俺は彼女を目で追っていた。
クラスのために、一生懸命に頑張る子。クラスメイトとの関係も良好。誰にも弱い所を見せない。
二年生になってからも同じクラスになれた時には、素直にガッツポーズした。
さらに俺には転機が訪れた。
それは期末テストを終え、あとは夏休みまで指折りで数えていた時。
「お前には、村崎家へ婿入りしてもらう。これは、確定ではない。お前の努力次第だ」
そう父に言われた。
折角手に入れたチャンスなのに、上手く活かせなかったーーでも。
彼女の前では、頭で考えてること全部知られてしまう。なぜか、心が読めてしまうらしい。
ーーそれなら、全てを。
不格好でも、不器用でも。彼女に、全てを見せる。荒削りでも、彼女へ気持ちを伝える。
そう決めていたのに、負けるかもしれないと弱気になった試合には来るなと言ってしまった。
でも、彼女は来てくれた。
ペガサス学園が負けている劣勢に、状況をひっくり返しそうな応援の声を上げてくれて。
これで負ければ男が廃る。
絶対に勝ってみせる。

