無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?


 その後、私達は施設を満喫した。
 この施設は、プールだけでなくジムやフードコートのような飲食店もある。
 時間はあっという間に過ぎてしまい、名残惜しいかった。

「緑谷くん。今日はありがとう。すっごく楽しかった」

「俺も。ーーよければ、帰りは俺も送って行って良いか?」

「いいの? ありがとう」

 そう言って、私達は緑谷くんが手配してくれた車に乗った。

 二人横並びで、車が走り出しても特に何か会話が始まることはなかった。でも、その空気が気まずくて私から話しかけた。

「な、夏休み……満喫してる?」

「あぁ。それなりに」

「そっか……! あっ、部活は? 空手部って夏休みも練習?」

「あぁ」
(今日、かなり元気をもらった。明日からの練習も頑張れそうだ。それにーー来週は、試合。来週の試合で、全国大会へ行けるかどうかがかかっている。今日ーー村崎にパワーをもらえて、本当に感謝しかない)

 短い返事しかくれなかったけど、彼の心の声は聞こえる。私は、バッと彼の方を見た。

「来週、試合なの?」

「えっ? あ、あぁ……そうだ。俺の考えてること、分かるんだよな」

 クシャッと髪を掴み、顔を引き攣らせる彼。