「坊ちゃんはーーこういうのとか?」
「いえ! こういう露出の少ないためワンピースじゃありませんか?」
「意外と大胆に攻めた布の少ないものの方が、好きだったりするんじゃないですか?」
と、みなさん真剣に話し始めた。
みんなーー緑谷くんが、どういうのが好きか知らないんだ。
「困りましたね……坊ちゃんが、デートをするなんて初めてのことだったから」
「水着も、女の子が好きそうな物を揃えて欲しいとしか言っていませんし」
ーー初めて。
スタッフさんを困らせてしまったけれど、そのことが何よりも嬉しかった。初めてで、私のために色々としてくれてるというのが、たまらなく。
緑谷くん、好きなのを選んでって言ってたし……。
「す、すみませんっ。困らせてしまって……。コレにしようと思います……!」
「まぁ! 可愛らしい! それじゃあ、早速着替えて下さい」
学校の授業以外で、水着を着るのは初めて。
自分の感覚で、可愛いと思えたものを選んだけれどーー緑谷くん、どう思うかな。
そんなドキドキした気持ちでいっぱいになりながら、選んだ水着に着替えてプールの入り口へ向かった。

