「ううん、プールで泳ごうーーと、言いたいところなんだけど。ごめんね、私……水着を持ってなくて」

「それは心配ない」

 そう言うと、緑谷くんがどこかへ電話をかけ始めた。

 ものの数分で電話を終えると、更衣室まで案内してくれた。

「中にいるスタッフが、既に色々と水着を用意してくれている。好きな物を選んでくれ」

 そう言われ、私達はそれぞれ更衣室へ入った。
 中へ入ると、同じ制服を着た女の人達がぞろぞろといた。

「「「お待ちしておりました。村崎様」」」

 私が入った瞬間、みんなが声を揃えて言った。

「ど、どうも。お、お世話になります……?」

 こういう時に言う言葉で合ってるのか不安できょとんとしてしまった。

「まぁまぁ! 翡翠坊ちゃんがおっしゃっていたように、可愛らしい方!」

「私達も水着を選ぶ甲斐がありますね」

 私を置いてきぼりにして、きゃっきゃと騒ぐスタッフの人達。

 というかーー緑谷くん、私のこと可愛いって言ってくれてたの……?
 そう思うと、顔にぼっと熱が集まった。

「み、緑谷くんが……?」

「えぇ。とても可愛らしい方だから、水着もとびきり可愛らしいのをーーと、申しつけられましたので。ほら」

 そう言ってスタッフの人がお店のようにずらりと並ぶ水着を見せてきた。