「あ、あの……! 信じてもらえないと思うんだけど、その」

「信じる」

「ーーえ?」

 まだ、何も言っていない。
 それなのに、彼はまっすぐと私の目を見て言った。即答に、私の方が驚いてしまった。

「あの、私ーーまだ何も」

「……そうだな」
(気持ちが先走ってしまった。でも、俺は村崎が何を言ったとしても信じる)

 どうして、緑谷くんはそこまで……?

 不思議に思ったが、私はへらっと笑って見せた。

「何だか私……人の心が読めるようになったみたい」

「……は?」

 ぽかんとし、絞り出したような声で言われた。

 うぅ……信じてくれると言っても、やっぱりこんな話信じられるわけないよね。

「ご、ごめんね。やっぱり、何でもない。忘れて」

「いやーーその。信じる信じない、って次元の話ではない。俺が、さっきまで考えてたこと……知ってるのか?」

 口数の少ない彼の声が、はっきりと聞こえる。口元を押さえてるから、少し聞こえにくいけれど彼が話してることはちゃんと分かった。

「……うん」

「いつからだ?」

「えっと……倒れた後から、だよ」

 そう言うと、彼の顔がボッと赤くなった。