「こ、こちらこそ……よろしくお願いします」
挨拶を終えたが、ぎこちなかった。私達ははておき、話が盛り上がっているのは両親。
私の家族ーー村崎家は、製薬会社をはじめとする医療関係の会社を経営している。
そして、緑谷くんの家系は大手警備会社を経営している。昔から道場を営み、鍛え上げた肉体を基に警備会社を設立。他にも、警察、自衛隊、消防とかに武術を教えている武道の家元。
全く違う二つの家が求めることーーそれは、婚姻関係を作り、親戚になることで互いの家に影響するメリットだ。
親同士は、どうにかコネクションを作ろうと奮闘している。でも、私達がーーいや、私だけかもしれないけれどとても気まずく思っているのは。
「それじゃあ、あとは若い二人だけで」
頭の中が色んなことでごちゃごちゃしていると、ドラマのお見合いのシーンでよく聞く言葉を言われて私達の親は出て行ってしまった。
こんなところで二人きりーーしかも。
……怒ってる? 一点をじっと見て……というか、私睨まれてる?
なんとかしてこの雰囲気を和ませないと。
両親は、緑谷家との婚約を望んでる。
頑張って良い結果にしなければならない。

