無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?


 ♡♡♡

 武道場の外に出て、裏側に回ると二人掛けのベンチが並んでいた。

「武道場の後ろってこんな風になってるんだね」

「……あぁ」
(来たものの、さっそく食いたいと言えばがっついてると思われてしまうか。だが、休憩は十五分。一つも食べられないのは惜しい)

 彼の視線が、風呂敷にじっと集まったのでそれほど欲してくれ、嬉しく思った。

 ベンチに腰掛け、風呂敷を開いてタッパーの蓋を取った。隣にタッパーを置き、その横に緑谷くんが座った。

「えっと……食べてもらえると嬉しい。でも、大会前だからお腹を壊したりしたらーー」

「貰う」
(村崎の手作り……食べずに持って帰って永久保存したい)

 即答してくれ、良かったと思ったがその後のことが気になった。
 食べずに……永久保存!?
 食べ物だから、そんなことできるわけない。

「えと……む、無理のない範囲で今! 食べて欲しい、かな」

 もし、家に持って帰った後に食べてお腹壊したなんてなったら大変だしね。

「そうか」
(残念。だがしかし、村崎と並んで食えるなんてこの先一生ないだろ。休憩、十五分じゃなくて三十分ーーいや、一時間くらいにしとけばよかった。もったいない)

 てっきり、渡したら終わりだと思っていた。

 それなのに、緑谷くんはーー私といる事を望んでくれているんだ。
 これは、緑谷くんと話せるチャンスになるかも……!