「まぁ、この質問は簡単だったかな。僕が昼に食べる物は、病院の食堂か向かいの定食屋。それじゃあ、僕が昨日患者さんに一番処方した薬の名は? これは、専門用語だからね。難しいかな?」
(アガイーソ。村崎製薬の新薬ーーこれは、紫ちゃんだけでなく、村崎家でも知っている者は少ない)
「アガイーソ……何のお薬かは分かんないけど、新しいお薬なの?」
「ゆ、紫ちゃん……っ!? ほ、本当にーー」
(心が読めるのか……!? でも、そんなことあり得るのか……?)
兄が疑うのも仕方ない。私は、苦笑いしながらこれまでのことを話した。
そして、兄と話す中で結論としては【人の心が読める】ということは確定のよう。でも、人と話をしていて声が聞こえないこともある。
そのことについて、兄いわくーー。
「それは、言ってることと思っていることが同じだからじゃないのか?」
とのこと。
たしかに、思い返してみればーーお兄ちゃんとの会話では、心の声は全然聞こえなかった。兄は、昔から表裏のない人間で、それは私に対してもだからだろう。
って、ちょっと待って。ということは、緑谷くんの心の声がすごく聞こえるってことはーー。
彼、冷たくて私のことを苦手か嫌ってると思っていたけど、もしかして逆……だったりするの……?

