「緑谷さん。二人にはまだ、婚前に同居してもらうことを伝えてませんよ。二人は未成年ですからね。こういうことは、親が決めないといけませんから」
「あぁ、左様でしたか。翡翠の意見を聞いてる場合ではありませんでしたな」
父同士はお互いに軽く笑って話が終わったように見えるがーー私達にとっては、何も終わってない。それどころか、進んですらいない。
「お父様、どういうことですか?」
私は父に。
「父さん。私も詳しく聞きたいです」
翡翠くんは、彼のお父さんに尋ねた。すると、父が「ここは私が」と咳払いしながら言った。
「結婚できる年齢になったら、すぐに婚姻することになるんだ。同棲せずに結婚すると、離縁する可能性も高い。そうならない為にーー二人の愛の巣は既に用意してある」
「翡翠は、明日からーーいや、今日からでも送り出す準備はできていますぞ」
二人に謎にドヤ顔をされ、戸惑った。
翡翠くんと両思いになって、これから甘酸っぱい青春を謳歌すると思ってたのにーー同居が始まるなんて、私達……どうなっちゃうの……!?
【完】

