すべてはあの花のために①


 新生徒会、お披露目式。
 しんと静まり返った講堂で、新生徒会のメンバーは壇上に上がり、一人ずつマイクの前に立ち、挨拶をしていた。


「(一体この後何が始まるんだ……?)」


 生徒たちは静か過ぎるほど、葵たちの話を聞いているように見える。……いや、静かすぎる? なんだか、途轍もなく集中しているみたいだ。

 生徒たちの瞳の奥は、何故かメラメラと闘志が漲っているように感じる。中には、運動靴の紐を結び直している人もちらほら。
(※桜に上靴はありません。基本革靴、運動靴も可)

 終盤になるにつれて横にいるメンバーたちも、準備運動をしたり靴紐を硬く縛っていたり……。



『以上をもちまして【新生徒会の結成・お披露目式】を終了します』

「(式自体の名前もお披露目って。もっといい名前はなかったの――……んんっ!?)」


 司会の先生がそう言い切ったのが、先か後かわからないが。講堂にいた生徒が一斉に出口へ走って行くではないか。――と思ったら、横にいたはずのメンバーがいつの間にかいなくなっていた。WHY?


「(な、なんだなんだ?!)」


 式が終わると、講堂に残っていたのは呆れた顔をしながら片付けをしている先生たちと、壇上に残っている葵だけ。しかも先生たちは、「え? 大丈夫?」みたいな顔で葵を見ている。


「(い、一体なんなんだ)」


 壇上の生徒会側と一般生徒側で出入り口は違うので、葵はよくわからないまま取り敢えず講堂を出ててみることにした。

 一体、これから何が起こるんだろう。
 ドキドキとわくわくで高鳴り始める胸にそっと手を当てていると、校内中から何やら変な叫び声が。それに、何故か校舎が揺れているような気もして……?


「――……っ!!」


 しかも、音がだんだん近付いてきてる……!?
 講堂から出てた葵は、Sクラス校舎へ進んでいた歩みを止め、後ろを振り返ってみると……。