すべてはあの花のために①


 そんなこんなで!

 成績が常に上位で?
 運動神経が抜群で?
 礼儀作法もばっちりで?
 美人で?
 お金持ちで?


「(器用で? 絵がとても上手くて? 透き通るような声で?)」
 (※↑ここまでは言ってない)

「(何でも持っている完璧なお嬢様? そんな~。持ってないない、持ってないよー!)」
 (※↑ここまでも言ってない)


 ……はあ。
 まあ、もう大体想像はついてはいるでしょうが、彼女。ちょっと、変わった子だったりするんです。


「(ちょっとだよ! ちょっとだけね! ここ重要だよ! 赤ペンチェックだよ!)」


 ――訂正します。ちょっとではなく、だいぶ変な子です。
 テンション高めについていけないわ。そう思った方、この辺でリターンをお勧めします。


「(ちょっと?!)」


 それから、礼儀作法はしっかり体に叩き込み、華道や茶道もお手のもの。
 しかし、身体を動かすことが一番好きだったためか。合気道を始めとする、空手・柔道・剣道などの武術関係が、めっちゃ強かったりします。

 なんでも護身術として始めたのがきっかけだったみたいですが、今ではそんじょそこらの不良に絡まれたって、少々のことでは負けないほどの実力者になってしまったのでした。


「(お披露目はまた後日にでも〜!)」


 はてさて、師範が流しているのは嬉し涙か悲し涙か。


「(え? どういうこと??)」


 ――ごほん。えー、ですので。
 そんなお嬢様が、実はちょっとどころかとんでもなく変わった子で。


「(ちょっと)」


 実はめちゃくちゃ強くて?
 そんじょそこらの男共なんかコテンパンにやっつけちゃったりして?


「(めちゃくちゃ格好いいだなんてそんな……っ)」
(※↑そんなことは誰も言ってない)


 絶対に知られてはいけない、道明寺葵の秘密だったりするのです。