心で涙を流していると、いつの間に全員倒したのか。全然息を切らせていないオウリが、葵の両手をぎゅっと握って視線を合わせた後、にっこり笑ってくれた。
「(あら可愛いっ。鼻血が出そう)」
一体どうやったらこの可愛さが出てくるんだ。
ここまでいったらもう罪の域じゃない? 犯罪級の可愛さなんですけど!
「あおいチャン。『でも、助けてくれたから、友達になれたんだよ』だって!」
同じく息を切らせていないアカネが、彼の気持ちをそう代弁してくれた。
……そっか。これもきっと偶然。
――――ううん。必然だな、これは。
「そうだね! わたしはオウリくんを助けられて本当によかったよ! わたしはもう、ここで近付いていたんだね」
笑顔で葵がそう言うと、みんなもやさしく笑い返してくれた。
けれど葵にはまたよくわからないことが先程起きていたので、「それはそうと」と質問してみることにした。
「さっき不良くんたちに何を聞いてたの? ってか、踏んづけるのはさすがによくないぞ!」
「ああそれは……」と、チカぜは話したものの、どうやら言っていいものかどうか渋っているようだ。そしてみんなは視線をアキラへと向ける。
アキラはその灰色の瞳をすっとと細め。
「そうだな、思ったより早くなってしまったが……葵。少し早いが、お前に知っておいて欲しいことがある。聞いてくれるか?」
葵を引き止めたもう一つの理由を話し出した。



