「(いっ、いやいやいや! わけわからんぞ? しかもわけわかってないのわたしだけじゃないから。ほら、そんなこと言ってるから後ろの不良さんたち目が点になってんぞ? 気付いてる??)」
そうこうしているうちに、最初は呆気にとられていたツバサが、一瞬ニヤ~っとした顔になったのを、葵は見逃さなかった。
「(絶対悪いこと考えてるー……!)」
ツバサは不良くんの顔から首筋をつーっと指先で撫でたあと、その手を自分のほっぺに持って行き。
「ツバサ、うれしいっ(キャハッ)」
なーんて言いやがった。
ノリノリですやん。不良くんなんかもうすでにデレデレだし。
あーあ、可哀想に。このあと地獄が待っているとも知らずに。
「そ、そうか。あんた、ツバサさんっていうのか」
「そうよ~ん。あなたのお名前は~?」
ああ、やっぱりノリノリだ。
こらこら。人の胸元を指でいじいじしないの。
「つ、ツバサさん。もしよかったらこ、このあと……」
「え~? どうしよっかな~?」
いやいやあなたたち! そこで勝手に二人の世界入らないでくれる?! あちらさんもだけど、こっちのメンバーもみんな唖然として……ん?
おーいキサさん?
あなた何堂々と爪磨いてらっしゃるんです?
ヒナタさん?
あなた本当にスマホ好きね~。お兄さんのこと止めてやってくれませんかね?
カナデさーん……?!
ここでナンパはやめようね! 確かに美人さんだったけどもさ!
……オウリさん? アカネさん?
そんなクスクス笑わないであげて! そして止めてあげて! 彼が、これからショックであの世に行ってしまう前に!
「(ここはもう、チカくん! ――君に決めた! ……? どうしたの?)」
某アニメのように指差して『行けっ!』ってやってみた! 本当はボール投げたかったけど。
でも、どうやらチカゼはアキラに夢中のようだ。ほ、本当に尊敬してるんだ……。
アキラは、どうやら風船ガムを膨らませているようだ。それがあまりにも大きく膨らんでいる。
「す、すっげーなアキ!」と言いたげなキラキラした目でその様子を見つめるチカゼ。
いや、でもさ。たぶんそのままいったら――――



