「(それにしても、一体どういう関係?)」
葵の頭のまわりにはまた、大量のハテナが悲しいくらい飛んでいるが。いつの間にか目の前の男性陣、固まっていたと思ったら、今度は顔がどんどん険しくなってきているではないか。
――あ。ちなみに興味がなくなったのか。アキラはペロペロキャンディーに。ヒナタはスマホに、現在夢中であります。
「(何故だ? 何が起こっている……)」
――もしや。
そう思い、上を向きたいが頭が乗っかっているせいで全くと言っていいほど動けない。
「(見たい! だって今カナデくん絶対変な顔してるもん!)」
((ようし。どうしてそういう結論になったのか。言ってみなさいよ))
「(えっ?! 怒っ……?! わ、わたしの予想だけどね? 恐らく今、カナデくんは途轍もない変顔をしていてだね? それで、その変顔があまりにも酷過ぎるから、みんな固まったあと今度はイライラし始めたんじゃないかと思うわけだよ。どーだいワトソンくん!)」
((ナルホドネ。流石ホームズくんダネ~))
「(お! これは当たりではないのか!?)」
((どうしてそれが正解だと、自信を持てるのかがわかんないわ))
――はい。それじゃあ正解どうぞ。
「……お、おいカナ。それって一体どういう……」
「えー? チカちゃん、それ聞いちゃう~?」
「仕方ないな〜」と、そう言ってカナデは了承もなしに葵の耳元に、そっと唇を寄せた。
「――ひゃっ!」
「こういうこ〜と」
また!? い、今また耳にキスされた?!
そう自覚した葵の真っ赤になった顔を見てからか。はたまたカナデの行動を見てからか。それが理由かはわからないが、今度はキサも一緒になって目をまん丸にしてこちらを見ている。
「……か、かなでくん……」
「ん? なーにアオイちゃ、……あれ?(この子免疫あるんじゃ……)」
きっと先程の空き教室でのことを言っているのだろう。
カナデ自身は酔っていたので、親睦会で真っ赤になった葵は見てなかったのだ。その時も、みんなは離れたところでカナデのプライドを守ろうだのなんだのと話していたため、実質知っているのは……まあ葵だけというわけだ。
「アオイちゃんもしかして、耳よわ――」
「歯あ食い縛れっ!!」
「ぐはっっ!!」
葵はカナデにアッパーカットを繰り出した!▼
――効果は抜群だ!
カナデは目の前が真っ暗になった!▼



