「……いや、違う」
((えー……。この流れで否定しますか普通))
「(がーん……)」
((ほ、ほら! 落ち込んじゃったんだけど! どうしてくれるの!))
「友達だけじゃない」
「(ん? どういうこと?)」
その他のメンバーはどうやらわかったようで、にやにやとアキラを見ている。――そして。
「葵は、大切な友達であり、俺たちの仲間だ」
アキラはそう言ってから「だから」と続け、少しだけ溜めてから最後の言葉を口にする。
「葵、だからお前を生徒会庶務にしたい。引き受けてくれるか?」
「――! ~~っ、もちろんだ。ばかやろー……!」
葵は泣きながらも、今までで一番の笑顔付きでそう答えた。
「あらあらまあまあ!」
「ん……?」
どうしたのか。キサ以外のメンバーの様子がおかしい。
いや、ある意味ではキサも少し様子がおかしいのだけれど、何故か誰一人として視線を合わしてはくれなかった。
――でも、そんなのも一瞬で。
「それじゃあ、よろしくな。葵」
アキラのその一声で、その場のみんながお互いの顔を見ながら微笑み合った。
* * *
――カシャッ
「隠し撮りですかミノルさん。犯罪ですね」
「え!? そこまで言わなくてもいいじゃない」
その様子を少し遠くで見ていたキクは、カメラを構えている理事長とそんな話をしていた。
「それで? いい写真は撮れましたか」
「うん! もうばっちりだよ! これからたくさん、写真残しとかないとね~」
そこにはいつものメンバーに新しい子が加わり、その子を包むような笑顔をしたみんなが写っていた。
カメラに残った映像を、理事長の指が優しく撫でる。
よっぽど嬉しいんだろう。そう思ってキクは理事長の横顔をこっそり覗き込むが。
「(え。どう、して……)」
理事長の顔は、笑ってなどいなかったのだ。
寧ろ――――とても苦しそうだった。



