すべてはあの花のために①


「ここにいるみんなとはもう仲良しだけど、道明寺さんとも私は仲良くなりたいな。もう、そんな畏まらなくていいんだよ? 動画見ちゃったし」

「(デスヨネー。バレバレですもんねー……)」


 ここでも素を見せられるようになった葵は、嬉しいやら悲しいやら、不安やら何やら。

 完全にいい雰囲気がぶち壊しじゃないか! この野郎っ!


「でも、実はそれだけが理由じゃなかったりするんだなーこれが」

「他にも理由があるの?」


 そう切り出したのはチカゼ。
 確かに、あの異常なほどの脅しだ。どうやら他に、わけがありそうだ。


「それは……」

「それは?」


 今度は、キサがもったいぶってなかなか話し出してくれない。
 その間に他の人たちの目線は静かにアキラの方へと集まっていく。


「(ん? アキラくんと何か関係があるの?)」


 見つめられている当の本人は、これまた可愛く首を傾げていらっしゃいますけど。


「――っ、それはっ!」


 キサは両手で机をたたいた後、右手でアキラを指差し、そして――――。


「こいつが…………糖尿病になるからよ!!」

「……はい??」


 支離滅裂過ぎて全く話の意図が掴めない葵の頭の中は、それはそれはたくさんのハテナで埋め尽くされた。

 どういうことですか? 誰か、説明を求むっ!



 その後興奮したキサが、マシンガントークで経緯を話してくれました。要約すると、こういうことらしい。


 生徒会に選ばれる
 ↓
 辞退する
 ↓
 代わりを残されたメンバーが決める
 ↓
 生徒会に入りたい人が猛アピール
 ↓
 どうやら皇は甘いものが好きらしい
 ↓
 アキラに大量のお菓子(ワイロ)が渡る
 ↓
 アキラはみんなに内緒で全部食べる
 ↓
 健康診断で糖尿病になりかけと診断
 ↓
 全員全力で阻止!


 ……だ、そうです。