すべてはあの花のために①


「(酷い。酷過ぎる。これ、わたしより絶対ヤバい人たちの集まりだと思うんだけど。ね?! そう思うよね!?)」

((え。うーん、まあ……))

「(やっぱり!?)」

((どっこいどっこいだな))

「まじかあぁあああ……」


 脳内から返答をもらった葵は、そう叫びながら膝をつき手をつき。ガ――ンと、今にも音が聞こえそうなほど項垂れてしまった。



「は? お、おいっ、どうしたんだよ」

「あっちゃん? どうしたの?」

「あら。大丈夫?」

「アオイちゃん?」

「道明寺サン?」

「??」


 いきなり奇声を上げながら項垂れた葵を、各々が心配してくれる中。


「(はあ)」


 九条弟にはバカにしたような呆れたような、そんな顔で見られ。


「??」


 まさに『説明聞かなくていいの?』的な顔で見つめてくる皇くん。


「(あんたはまともだと思ってたのにいっ!)」


 葵はそう心の中で叫んで、もう一度項垂れたのだった。



「なんでだっ。どうして……っ」


 ドンッドンッと、床を叩きつける様は。


((もはやゴリラにしか見えない))

「なんだと!?」


 一人で勝手に喋っている葵に、お互いの顔を交互に見ながら頭に、はてなマークを浮かべている方が数名。


「翼、俺はまともじゃないのか」

「え? 今頃気付いたの?」


 真剣な顔をしてそんなことを話す、アキラとツバサ。

 まあ、実は葵の心の嘆きはバッチリ漏れていたのだけど。きっと、度合いが酷すぎて洩れたのだろう。


 その頃のヒナタはというと。


「(よし、題名は【実写版ゴリラのマーチ】にしよ)」


 そんな様子を、ばっちり動画に収めていましたとさ。