すべてはあの花のために①


「じゃあ、続けておれらがいこうかな。二宮 茜(にのみや あかね)。マンガとアニメとゲームをこよなく愛す、高校2年生だよお〜ん。最推し魔女っ子マミリンに似てる道明寺サンとは、是非ともお友達になりたいですっ」


 おーっと。スルーからの問題発言だが、これはちょいと嬉しいぞ!


「(マミリンは残念なことに守備範囲外だったが、是非わたしもお友達になって欲しい!)」


 そう自己紹介したアカネの髪色はその名にピッタリ。少し暗めの茜色。縁が黒く大きめな眼鏡をかけているが、ちょっと長い前髪で目元はハッキリ見えない。でも表情はとても豊かなんだろう。先程から口元はよく動いていた。
 背は九条弟とどっこいどっこいだ。



「それから、この子は 氷川 桜李(ひかわ おうり)、おれらの一個下だよ。話せないけどめちゃくちゃいい子だから、仲良くしてあげてねえ」


 続いては、めっちゃくちゃ可愛い少年、オウリ。どこかで見たような少年の面影を残した彼には、ふわっふわのピンク色の髪がとってもよく似合っていた。
 葵と大して背の変わらない彼は、大きめのベージュセーターを着ており、それがまただぼっとしていて可愛らしい。あまり表情が動くことはないが、大きいクリクリした瞳がとても印象的だ。


「(あれって、タンザナイトかな……)」


 左手首。服の上から着けられていた。
 かわいらしい見た目に反し大人っぽいそれに、少々違和感を感じたものの、お金持ちの世界ではよくあること。特に気には止めなかった。


 ……にしても。彼が話せないのは、きっと何かわけがあるのだろう。
 深くは追求しないが、やっぱりどこかで似たような人に会った気が…………あ。



「あ、あのー、紹介してもらってる途中で申し訳ないんですけど質問が――」

「「「はい! 何ですか道明寺さん!」」」

「エ」


 ……いつの間に着けたのだろうか。ジャープなデザインの眼鏡を装着したキサ、チカゼ、九条弟の三人。彼らは上半身半分をこちらに向けながら、上目遣いで右手でクイッ!とそれを押し上げていた。

 なかなかノリのいい三人! これは先生っぽいぞ!
 眼鏡をかけたことにより大人っぽさ&なんかちょっとエロい感じが出てて。


「イイです!!」

「何が。さっさとすれば? 質問あるんでしょ」

「……ハイ」


 食い気味で被せてくる九条弟。本当容赦ないゼィ……。