「ふう。……だってさ、アキくん」
九条弟が皇くんを見ながらそう言うと、残りの全員が同じようにその視線を辿る。
「わかった」
何故この人が一言発するだけで、こんなにも体に緊張が走るのか。
「ということで。今日からお前は生徒会の雑用係だ」
「せっ、せめて庶務って言ってえぇ……!」
「結局やるんかい!」
「は~い。庶務一名様、ごあんなあ~い」
「俺が手取り足取り腰取り教えてあげよ~っと」
「!」
「はあ。また面倒な女子が一人」
「ちょっと? どういうことかしら?」
「「ちょっとも何も……」」
「「……ねえ?」」
「ねね! 魔女っ子マミリンに似てるって言われない? 言われるよねー!」
「……?」
「……あんたら、いい加減にしろ?」
「あ、あのー……くそっ! 美味しいとこ全部もっていかれた!」
「……それじゃあ、今日からよろしく?」
これが、高校生活残り二年の平穏だったであろう葵の日常が、ぶっ壊されてしまった瞬間だった。



