「どうしたんすか」 そう声を掛けられるまで、ぼうっとしていたことに気付かなかった。 いきなり掛けられた声に驚いて、長くなっていた灰がぼとっと塊になって落ちる。 「……何でも?」 目の前の男の肩を叩き、歩き始める。 過去は過去。 後悔に立ち止まるな。振り返るな。 今はもう、大事なものを守れる強さが、この手の中にあるのだから――――。