すべてはあの花のために①


 19時過ぎて駅に到着した葵たち一行。最後にアキラの「お家に帰るまでが歓迎会です」発言でちょっとざわっとしたあと、無事解散となった。


「先に済ませてくるから、ちょっと隣で待ってろよー」


 三人で学校へ戻ってくると、キクは理事長室にノックもせずに入っていった。


「あっちゃんあっちゃんっ」

「なーに? キサちゃん」

「あたしからね、多分誰も知らないこと教えてあげる!」

「と、いうと?」

「そんなに大したことじゃないんだけど、やっぱり女同士と言ったら恋バナでしょう! あたしが菊ちゃんを好きになったきっかけ!」

「わ、わたしが聞いてもいいの?」

「あたしのまわり男ばっかだったからさ? だからあっちゃんは、お母さんの次に話すんだ~」

「ええ!? そんなすごいポジションに!?」

「うん! だから、聞いてくれる?」

「お願いします! その手の話は大好物なので!」


 嬉しそうに笑ったキサは、彼に恋に落ちた時の話をしてくれた。それはまだ小さい頃、ドロケイをしている時に彼が言ってくれた、やさしい言葉。


「覚えてるかなあ。あっちゃんが『別に遊ぶ時まで分かれなくてもいいと思う』って言ったこと。昔菊ちゃんが、全く同じことを言ってくれたんだ」

「もしかして、それもドロケイの時に?」

「そうそう。その時に、『そう言えばよかったんだ』とか、『そんな考えで人が動けるんだ』と思って。今までの菊ちゃんを見る目が変わったんだ」

「……キサちゃんは今、幸せ?」

「うんっ。もちろんだよ!」

「今回は、みんながみんな自分の気持ちを正直に言わなかったから、ここまで大変なことになった。だからこれからは、ちゃんと相手に伝わるまで話そうね」

「わかりましたあっちゃん先生!」

「うむ。いい返事ですキサさん。では今度一緒にケーキバイキングにでも行きましょう」

「はい喜んでー!」

「あ。……そういえば」

「うん? どうしたの?」

「奪還作戦が終わったら、みんなでヘタレ野郎共をボッコボコにしようって言ってたんでした。詳しく言うと、チカくん、キク先生、サツキさん」

「ああ、なるほど……」

「どうされますか。未来の旦那に手出せますか?」

「……ごほん。それとこれとはまた別の話になりそうなので、是非やらせていただきます」

「じゃあ、キサさんはキク先生をお願いしますね。恐らく、サツキさんはすでにアカリさんにやられてると思うので、そのまま任せましょう」

「じゃあ、あとはチカか」

「そうなんですが、やっぱりわたしはあの人もこの中に入れるべきだと思うんです」

「あの人?」

「はい、魔王様です」

「杜真を!? やめといた方がいいよ! あっちゃんの命が危うい!」

「すでに投げ飛ばしてるので大丈夫だと思ったんですが」

「んーまあ今回は、保留ってことにしとかない? みんなすごい頑張ってくれたと思うから」

「キサさんがいいなら、わたしはそれで構いません」

「よし! じゃあ、もし今後同じようなことがあればボッコボコにしてやりましょう!」

「了解しました!」


 そう言って二人は笑い合いました。


「てかあっちゃんさ、杜真となんかあったでしょ」

「――!!」

「あー怪しいんだあ〜。何したんだよう。言ってみろよお。こちょこちょこちょ~!」

「やっ! やめてえー!」


 キクが戻ってくるまでくすぐり攻撃に遭ったが、葵は決して口を割らなかったとさ。