ぎゃあああはははっははー!
その頃部屋の中は、割れんばかりの笑い声が響きまくっていた。
その動画を見ていた面々は、腹を抱え、涙を目に溜め、そして時々呼吸困難になりながら……それでも、めちゃくちゃ大笑いしていた。
「ぷっ。……と、いうわけなんだけどもね? 道明寺さん」
「ブッ! ちょ、待てよ。ここからがいいとこ――」
『必殺! 目潰し!! からの~、鼻フック一本背負じゃああッ!!』
未だに流れている動画の中の変な女は、ばったばったと不良たちを投げ飛ばし、終いには、変な技名を叫んでいた。
『汝のあるべき姿に戻れ…………フライング・メイヤーああっ!!』
(※首投げ)
さらには、何かのカードを封印する時の台詞を言いながら、ものすごい勢いで投げ飛ばしていって……あっという間に女の周りには、ボロボロの不良たちが出来上がっていた。
『くそっ! 覚えてろよ!!』
『ぜ、是非弟子入りさせ――』
『『『やめろバカ!!!』』』
むっくりとなんとか起き上がった不良たちは、お決まりの台詞と、その他諸々言い放って、元気よく西の方へ去って行ったのだった…。
不良たちが去った後。
『……ふっ。これで、わたしの役目は無事に終わった。そこのめちゃくちゃ可愛い少年くん! もし、また同じような目に遭った時は、これを鳴らして助けを呼ぶんだよ! じゃ…………あばよ!!』
こちらもお決まりの台詞をめちゃくちゃドヤ顔で言った後。大きな音と砂煙を立てながら、恐らく言っていたであろう『キ――ン!』と、某アニメ少女のように手を広げ、その姿のまま猛スピードでこの場から去って行ったのだった。
残された少年はというと、変な女の人から渡された防犯ブザーを試しに鳴らしてみることにした。
オ゛エ゛エェェエエッェェーッ!
『……!?!?』
ものすごい大きな音の、しかも聞いているだけで吐きそうになりそうなそれをすぐさま止めて。
少年は、大きく大きく振りかぶって。遠くへ、より遠くへ投げ捨てたのだった――――。



