すべてはあの花のために①


『あ゛あー、あたたたたたたたたたたたたたたあぁーっ!』


 刹那、某格闘家の技が炸裂。
 油断しきっていた不良のHPは、ひゅ――んっと一気にゼロになった。


『……ふっ。またつまらぬ秘孔を突いてしまった』


 パンッパンッと手を叩いた女は、超ドヤ顔で何かと何かが混ざった決め台詞を吐いた。


『は、はああ!? お、おい! お前、何者だ!』

『おい、なんだよこの女! めちゃくちゃ強えー……!』

『いやいや! それ食らったら死んじゃうヤツだから! しかもちゃんと心構えしてなかったから、“あべし”って言えなくて一生後悔するヤツー!』

『しかも決め台詞、五○門さんのだからそれ。混じっちゃってるからそれ!』

『すっ、すっげ~! おれ! 本物生で初めて見た!』

『『『当たり前だ!』』』

『つかホンモノじゃねえから!』


 どうやら向こうのレベルも同じようなものみたいだ。

 ……何のか? そりゃもちろん、おバカ具合の話。



『あんたたち……』


 ゆらり、と。体を動かしながら急に話しはじめた変な女に、本気でビビりまくっていた不良たちはビクッ! と大きく肩を震わせた。


『こんな…………こんな! めちゃくちゃ可愛い少年から喝上げしようだなんて!! たとえお天道様が許そうとも、この、桜吹雪のあっちゃんが許さない! 月に代わってお仕置きしてやるんだってばよっ!!』

『だから! なんかいろいろ混じってるからそれっ!』

『特に、セーラー服と忍者服着てるヤツ!!』

『おおー。すげえ~……』


 さっきの技を見てから、若干名尊敬の眼差しを向けている気がしなくもないが。



『くそ!マジで変な奴来たー……。……っ、お前ら! やっちまえ!!』


 不良たちは、心の中では嫌だな~と思いながらも、勇気を出してその変な女に一斉に殴りかかっていったのだった――――……。