そんなことを思っている間に、今度はこちら側の出番になったようだ。
「杜真。お前まさか、このままで済むと思ってはいないだろうな」
「……ふむ、そうですね。ここで、『俺のことは好きにしてくれていいから、あいつらだけは許してやってくれ』と、言ったら俺の好感度はアップしたかもとは思っていました」
「おい! さっきから何だ! ふざけるのも大概に……!」
「では言わせてもらいますが。……ここで止めとけばよかったものを。伯父さんも馬鹿ですね」
「おっ、お前! ご当主になんてことを……!」
「え? いやいや。そもそもこの人、当主になる資格なんかさらさらないですし」
「……どういうことだ。どういうつもりだ!」
「え? 言ってもいいんですか? ……そうか。何も言わないってことは言ってもいいんですね。それはある意味でお心が広い」
まあ言い換えれば『愚か』の一言に尽きるんだけど。
「では言わせてもらいますと、その皆様が桐生本家のご当主だなんだと持て囃している人は、実は、ピ――――で、ピ――――をした挙げ句、さらにはピ――――だったり? あ。あとは、ピ――――と、ピ――――と、ついでにピ――――と。それからそれから、ピ――――で」
「おまっ!? 何故そのことを知ってる!」
「ああ、やっぱり本当だったんですね」
「っ?!」
「おっ、お前! ご当主になんてことを!」
「そういうあなたも、ピ――――じゃないですか」
「!?!?」
「ちなみに本家は勿論、今までこんなことをしているにも関わらず、誰も何も言わなかった本家以外の皆様方にも、俺はとても怒っていますので。俺の家族にも、あいつの家族にも、幼馴染みたちにも、そして友達にも。……もし何かをするようなら、必死に隠してきたあなた方にとって都合の悪いことを、全て世間に公表させていただきます。俺に、誤った人の動かし方を教えてたこと。そして俺を怒らせたこと。……一生後悔してくださいね?」
にこりと微笑む魔王様に、桐生本家とその他の人たちは恐怖に震え上がっていた。そして桜庭本家も、キサ母を説得しようとしているが……きっともう無理でしょう。
こうして無事、女王様はヒーローに助けられ、魔王様の手によって残りも片付けられたのでした。めでたしめでたし。



