すべてはあの花のために①


 やっとのことでキスから解放してくれた彼に、また抱き締められる。


「もう大丈夫だよキサ。もう、頑張んなくていいからな」

「ど、……どういうこと?」

「話せば長くなるから詳しくはまた後で話すけど、オレらを動かした奴がいるんだよ」

「オレら? 奴?」

「お前のことだから大体見当ついてるだろう? まあそいつも車ん中いるから、早く着替えて帰るぞ」

「え? …………ええ?! も、もしかして……」

「会場も任せとけば大丈夫だ。あとはトーマたちがなんとかしてくれるから」

「でっ、でも! 何されるかわからないじゃん……!」

「それは絶対大丈夫だ。保証する。寧ろ逆に、本家の立場が危うくなるはずだからな。お前はただ、助けに来たヒーローのことだけ考えてればいいよ」

「……! もしかして、ひーろーって……」

「ちゃんと、今も着けてんだろ? 目印(、、)

「うん! ……そっか。もう、本当に頑張らなくて、いいんだね」

「ああ。だから、一緒に帰ろう」

「うんっ。やっぱり菊ちゃんは、あたしだけのヒーローだ!」


 そう言って抱き締め合った後、彼に着替えを手伝うかと言われたが、睨みを効かして断っておいた。

二人はやっと本当の笑顔になって、会場を後にしたのだった。