やっとのことでキスから解放してくれた彼に、また抱き締められる。
「もう大丈夫だよキサ。もう、頑張んなくていいからな」
「ど、……どういうこと?」
「話せば長くなるから詳しくはまた後で話すけど、オレらを動かした奴がいるんだよ」
「オレら? 奴?」
「お前のことだから大体見当ついてるだろう? まあそいつも車ん中いるから、早く着替えて帰るぞ」
「え? …………ええ?! も、もしかして……」
「会場も任せとけば大丈夫だ。あとはトーマたちがなんとかしてくれるから」
「でっ、でも! 何されるかわからないじゃん……!」
「それは絶対大丈夫だ。保証する。寧ろ逆に、本家の立場が危うくなるはずだからな。お前はただ、助けに来たヒーローのことだけ考えてればいいよ」
「……! もしかして、ひーろーって……」
「ちゃんと、今も着けてんだろ? 目印」
「うん! ……そっか。もう、本当に頑張らなくて、いいんだね」
「ああ。だから、一緒に帰ろう」
「うんっ。やっぱり菊ちゃんは、あたしだけのヒーローだ!」
そう言って抱き締め合った後、彼に着替えを手伝うかと言われたが、睨みを効かして断っておいた。
二人はやっと本当の笑顔になって、会場を後にしたのだった。



