すべてはあの花のために①


「……ん。じゃあちょっと待ってろ」


 離れたトーマは、扉の方へ歩いて行く。


「え? ……え?」


 状況が全く掴めないキサは軽くパニックである。


「どうぞ、お入りください」


 彼がそう言って扉を開けたところから部屋に入ってきたのは、どこか自分に似た雰囲気を持つ女性と、少々おどおどした男性。


「(……え。え?)」


 もしかして。……もしかして。――もしかしてっ!


「お、おとうさんと、おかあさん……ですか?」


 そう言うと、二人の顔がくしゃっと歪んだ。


「(やっぱりそうだ! ……そっかあ)」


 キサは、そんな二人の前に行き、二人の手を取る。


「あたし、あなた方に言いたいことがあったんですっ!」


 あたしを産んでくれてありがとう!
 みんなに出会わせてくれてありがとう!
 あたしを、今でも思ってここまで来てくれて、本当に本当に……ありがとう!


「あえて。ほんっとうにうれじい……!」


 そう言いながら笑うキサの瞳からも、温かい涙が、綺麗に零れた。