10分程で出てきた二人の顔は、すごくスッキリしているように見えた。
中をチラッと覗くと、彼らもなんだか嬉しそうだったし、どこか楽しそうだ。
「(ああよかった。これであとは――)」
あいつ、ただ一人だ。
「それじゃあ、行きましょうか」
「うん。よろしくね」
「ありがとう」
そう言って今度は新婦の部屋へ、彼らを案内する。
披露宴開始まで、あと20分
* * *
――新婦控え室。
「(今日でもうお終いか。あいつらは、あたしのメッセージ、ちゃんとわかってくれたのかな……)」
そんなことを思っていると、少し控えめなノック音が聞こえた。
「(杜真かな?)はーい。どうぞ?」
扉を開けて入ってきたのは、やはりトーマだった。
いつ見てもイケメンの顔に、服のセンスも悪くない。眼鏡のおかげで色気も溢れ出てしまうから、免疫のない女性たちは卒倒するだろう。
「馬子にも衣装」
「一応褒め言葉と受けとっておこうかしら?」
「いやすみません。俺が悪かったですハイ」
「わかればよろしい」
にしても、どうして自分の幼馴染みはこんなにもビビっているのだろう。
「(あたし、なんかしたっけ?)」
あの光景を覗かれていたことを知らないキサは、実は未だに幼馴染みから女王様と思われていることを知らないのだった。
「それはそれでちょっと置いといて。昨日の続き、少ししてもいい?」
「昨日の続き……って、夜の?」
「俺は前に進んだからさ、お前のことはもう待ってはやれない。でもこれは、お前の口からちゃんと聞きたいから、今聞くよ」
「杜真?」
「紀紗。お前は、本当の両親に会いたいか」
「えっ?」
「お前も昨日、少し前に進めた。だから、ちゃんとできるはずだ。今のお前の、正直な気持ちを教えて?」
「…………」
「お前は、……お前の両親に、会いたいか?」
「――――っ、そんなの」
キサは、ぎゅっと唇に力を入れた。
「そんなのっ! 会いたいに決まってる!」
少し泣きそうな声は、大きく部屋に響いた。



