彼らが出て行った後、再び葵たちのいる別室をノックする音が聞こえた。
ここは、今回の奪還関係者しか知らないはず。誰だろうと扉を少し開けて覗いてみると、そこには昨日の女性と挙動不審な男性が。
「(もしかして!)」
そう思って扉を開ける。
「来てくださったんですね!」
「もちろん。約束したし?」
「どどどど、ど、どうも。ははははじめまして……」
「どうぞどうぞ! 中に入ってください!」
中にはキクとチカゼしかいなかったので、早速通してあげることに。
「まだ、ご両親と新郎新婦のところには行ってないんだけど、先にあなたの顔が見たくてね?」
「そうなんですね! 嬉しいですっ」
知らない人と話している葵に、キクとチカゼはぎょっとしていた。
「……あの、もしかしてなんだけど」
「はいそうです! 彼らがキサちゃんの幼馴染みで奪還する人たちです~!」
そんなことをさらっと言っていいのかと、二人は怪訝な顔付きだ。
「そうなのね。……ありがとう、あの子のそばにいてくれて。きっと嬉しかったと思う。とても楽しかったと思う。すごく、心強かったと思う。あたしたちは何もできなかったも同然だから、本当に感謝してるわ。本当に……ほんとうに。ありがとう」
彼女と一緒に、隣の男性も深く深く頭を下げた。
何となくわかったのだろう。二人はどうすればいいか悩んでいるようだったけれど。
「「……どう、いたしまして?」」
ぎこちない幼馴染みに、彼らはくしゃっと笑った。
披露宴開始まで、あと40分



