「それではまた明日と言いたいところなんですが、このことを教えてくれたお礼に、わたしからプレゼントを」
驚いている二人を余所に、葵は「パンパカパーン!」と、鞄の中からあるものを取り出す。
「まず一つ目は、今の家族の方の連絡先です。きっとあなたなら、向こうもお話してくれると思うのでお渡ししておきますね。普段も会いたいなって思ったら、まずは彼らに相談してみてくださいっ」
「……わかったわ。でもまずは、明日父親と一緒に会ってからにする」
「はいっ。そうしてあげてください。それともうひとつ! これはわたしの宝物ですから、絶対大事にしてくださいね! ちなみに写ってるのは、隣にいる人と、奪われる人と、奪いに来る人たちなんです! 幼馴染みで小さい頃からよく遊んでたみたいなので、よかったらその二人も明日見てあげてください!」
隣にいるトーマは「……最悪」と言いながら顔を片手で隠しているが、ただ少し恥ずかしがっているだけのようだ。
葵はというと、にっこり笑顔で彼ら四人の小さい頃の写真を、彼女へプレゼントしてあげた。
「……あ。ありがとう……っ」
涙を流した彼女は、やさしい顔で笑っていた。
それから彼女の家を出た後、トーマと一緒に桐生家へと帰っていた。
「……え。本当にあの作戦で行くの」
「え? もちろんですよ! どうかしたんですか? 何か不都合がありますか?」
「いや、何もないけど……(俺、明日笑い堪えられるかな)ふはっ」
トーマは本家の方に帰るそうなので、途中の駅で降りていった。
目標の17時は過ぎてしまったが、葵はスマホ片手に、なんとか道を間違えることなく真っ直ぐ帰ることができた。
「ただいま帰りましたー!」
「「「「おかえりー」」」」
当たり前のように返ってくる言葉と変わらずの笑顔に、ぐっと喜びを噛み締めて。
「……ふふっ。ただいまです!」
葵はもう一度、おかえりに笑顔を返した。



