すべてはあの花のために①


「(でも、本当にこれでよかったのだろうか)」


 自分で言っておきながらもやもやした気分に。けれど葵が首を捻っている間に、バスが目的地へと着いてしまった。


「(あ! またお金!)」


 そう思った時にはもう遅く、彼は二人分を払ってさっさと降りてしまった。払わせる気は、最初からなかったのだろう。諦めるしかない。


「トーマさん。その、あんなこと言っておいてなんなんですが、本当にキサちゃんに伝えるんですか?」

「あなた、何を仰ってるんですか」

「ですよね……」

「……大丈夫。紀紗にはもちろん言うけど、先に菊にも言うからさ」

「……わかりました」

「そんな顔しなくていいって。長過ぎた片想いは、そろそろ上書きしたいと思ってたところだから」

「わっ、わたし、トーマさんには絶対幸せになって欲しいなって思います。本当に、人一倍やさしい人だから」

「……じゃあ、ありがとうってことで」

「はいっ!」


 そして笑顔を浮かべる二人は、目的地のマンションへと到着したのだった。