すべてはあの花のために①


「それで? どうして連絡しなかったの。もしかして普段スマホそんなに使わない?」

「今まで持っていても、ほぼ相手からしか連絡はなかったので。生徒会に入るまでは、家に連絡も入れたことがないほどちゃんと帰っていましたし」

「逆になんで? 自分から連絡しようとか、普通に思うこととかあったでしょ」

「そういうものなんですか? わたし、今まで友達いなかったもので」

「……ごめん。無神経だった」

「え? いえいえ! 大丈夫ですよ!」

「もし君が本当に大丈夫だったとしても。何も知らないからってあんな言い方聞き方していいわけじゃない。だから、ごめん」

「……じゃあ、謝っていただいて、ありがとうございます」


 なんだ。全然悪魔さんでも、魔王様でもないじゃないか。

 そんな彼に、「でもですね!」と葵は笑顔で続ける。


「今は一気に、八人のお友達ができたんです! だから今はすごく幸せなんですよ!」

「……そう。それなら、よかったね?」

「はいっ。ちなみに、トーマさんともお友達になれたらいいなと思っているので、これから頑張ります!」

「……友達になるのに、君は何を頑張るの」

「そうですね。友達になるにはまず、相手に近付くことが必要だと思って――――!」


 え。……え?


「わかった?」

「ええっ?」


 言い終わる前に、彼が離していたはずの距離をぐっと詰めてくる。どっかであったな似た状況。


「……や、なんでそんな真っ赤」

「な、なぜでしょう……?」


 いきなりこんな眼前にイケメンが入って来たら、そりゃ誰だって驚くでしょうよ。

 目を泳がせまくっている葵にため息を吐き、トーマはすっと離れていった。


「えっと。もしかして、もうお友達ですか?」

「寧ろなんでそうじゃないと思うわけ」

「わあー! ほんとですか! 九人目ですっ! とっもだち十人でっきるかな~」

「はいはい」

「でも、どうしてもうお友達なんですか? わたしたち、さっき会ったばっかりなのに」

「はあああ」


 こ、これまた大きなため息ですね。


「さっき、それはもう勝手に俺に近づいてきたの、君でしょう」

「おおおおおおおおおおおおおお!」

「気持ち悪い」

「す、すみません!」

「でも俺、変態はお断りなんで」

「ええええええええええええええええ?!」

「だから、気持ち悪い」

「(……しゅん)」


 でも……そっか。


「わたし、ちゃんとトーマさんに近付けていたんですね。よかったあ」

「……前置き長くなり過ぎたけど、話すか」

「はい。よろしくお願いします!」