結婚披露宴前日。時刻は、10時を回った頃。
「夕方には帰ってくると思いますが、遅くなりそうでしたら連絡しますね」
キクはというと、朝からテンションの高かったチカゼに連れられて、早朝に家を出ていったらしい。そして、桜庭家に行った時から彼らの連絡先も交換していた葵は、実は連絡したくてしょうがなかったりする。もちろん桐生のご両親、並びにトーマの連絡先もゲット済みだ。
「「うん。気を付けて」」
「「行ってらっしゃい」」
「〜〜っ、はいっ! 行って参ります!」
両家の父母にそう言ってもらえてすごく嬉しかった葵は、勢いよく家を飛び出して行った。
さあ、ここからは未知の世界だ。
できるところまで精一杯してやろう。
「まずは…………そうだな」
――――悪魔払いにでもなってやろうか。



