すべてはあの花のために①


 結婚披露宴前日。時刻は、10時を回った頃。


「夕方には帰ってくると思いますが、遅くなりそうでしたら連絡しますね」


 キクはというと、朝からテンションの高かったチカゼに連れられて、早朝に家を出ていったらしい。そして、桜庭家に行った時から彼らの連絡先も交換していた葵は、実は連絡したくてしょうがなかったりする。もちろん桐生のご両親、並びにトーマの連絡先もゲット済みだ。


「「うん。気を付けて」」
「「行ってらっしゃい」」

「〜〜っ、はいっ! 行って参ります!」


 両家の父母にそう言ってもらえてすごく嬉しかった葵は、勢いよく家を飛び出して行った。



 さあ、ここからは未知の世界だ。
 できるところまで精一杯してやろう。


「まずは…………そうだな」


 ――――悪魔払い(エクソシスト)にでもなってやろうか。