すべてはあの花のために①


 桐生家へと移動中。


「なあ。ドロケイって、いつのプログラム?」

「えっと、最終日の13時を予定してるよ?」

「「13時かあ……」」


 聞く話によると、どうやらキサちゃん。ものすごくドロケイがお好きのよう。


「だから早くに奪還して、あいつも一緒に参加させてやれねーかなって思ってたんだけど」

「それすごくいいと思う! さっさと奪還しちゃおう作戦でいこう!」

「でもあいつらの式、開始11時からなんだよなあ」

「「…………」」


 三人は潔く、両手を合わせた。ごめんねキサちゃんと。

 帰ったら生徒会メンバーで一緒にやろうという代案をこっそりと立て、葵たちは無事に桐生家の方たちと合流することに。


「(わお。これで本家じゃないの?)」

「いらっしゃい。待ってたよー」

「ちょっとの間振りねっ」


 立派な屋敷に着いて早々出迎えてくれたのは、キサの父母。そして。


皐月(さつき)、お客さん?」


 奥の方から聞こえたのは知らない男性の声。そして、サツキと呼ばれたのはキサの父だった。


「ああ(なつめ)。もう菊たちが来たんだよ」

「もう? どれだけやる気なのかしらこの子たちは」

菖蒲(あやめ)さんもそう思う? 今頃慌てるならもっと早くに動いてくれたらいいのにねー」


 そんなやりとりをしながら現れたのは、ナツメとアヤメと呼ばれた二人。恐らく彼らは、トーマの父母なのだろう。何がとは言わないが、そっくりだから。言葉の端々が。


「あら? 知らない女の子ね」

「もしかしてこの子が例の?」

「そうそう。オレをぶっ飛ばしてくれた奴」

「なんか、思っていた子と違ったわね?」

「ムッキムキマッチョの子を想像してたよねー」


 うん。やっぱり親子だね。息子が息子なら親も親、と。


「まあまあ。玄関で立ち話もなんですから、中に入ってしっかり話しましょう」

「あ。申し遅れました、わたしは――」

「「変態さんでしょう?」」

「違いますからっ!」


 後ろで腹を抱えて笑う面々。
 あんたら、余計なこと教えやがったな!


「(秘密が秘密じゃなくなってやいないか?)」


 どんどんバレていく葵であった。