……悪夢だ。嫌な記憶を思い出した。
『残業確定前に怖くなって飛び出しちゃった君たちが、ヒーロー戦隊ものの……確か、センムーだっけ? それのモノマネをしてただけって気付いたのは、結構経ってからだったよね』
は?
『相当様になってたんだろうね。ちゃんとわかった今でも女王様の命令に背かないのは、あの時の彼女がよっぽど怖かったからなのかな』
あんた、誰だよ。
『それとも自分たちが、バッタだのダンゴムシだのカマキリだのと、同等の扱いされてたから? 名指しされてたもんね、虫に向かって』
いや、それ普通に黒歴史なんだけど。
ていうかマジで誰。
『ん? ああ、ごめんね。ただの使いの者だよ』
そのただの使いが、一体何の用。
さっきから何が言いたいわけ。
『君も好きだよね』
何を……ああ、もしかして戦隊もののこと?
それは好きだったよ。世代だし。でも、どちらかというと悪の結社の方が――
『いやいや違うよ』
君も、好き――でしょう?



