話を聞いていたキサの父ちゃんとチカは、何も言えないままただ俯いている。
「まあまあ、そんな沈みなさんな。話はここで終わりじゃないぞー?」
けれど、二人はもう話が聞けそうになかった。
「(たく。ここからがいい話なのによう)」
罰と言いながら、キサのことが好きなのは変わらず。しかも追い打ちをかけるように婚姻が早まって、高校卒業までちゃんとそばにいてやれなくなった。
「(それで、もうダメだって。諦めてたはず、なんだけどな)」
何故こんなにも、彼女の言葉には力があるのだろうか。
「(……もしかして)」
ある結論に至ったキクは、一人頭を抱えてしまった。
「(もしかして、あんたの願いにはオレなんかも入っちゃってんですか)」
これはもう、奪還し終わったらお礼に行くっきゃねーわなと、頬を緩めた。



