すべてはあの花のために①


 道明寺家に着いた葵は、先生のバイクが見えなくなるまで見送ったあと帰宅した。

 そして場所は移動し、葵の部屋。


「……ねえ。どうして俺がこんなに怒ってるのかわかってるよね」

「は、はいっ!」

「じゃあ、どうしてか言ってごらんよ」

「か、帰りが遅くなったからで」

「違うでしょ?! 携帯さんに失礼なことしたからでしょ!?」

「ひっ! ご、ごめんなさい……っ」


 いや、違うでしょ。シントも相変わらずだな。


「どうせまた、無理してたんでしょ。すごい心配したんだからね」

「うっ、すまない……」

「今日は遅いから、早くご飯食べて、ちゃんとやることやって、それから寝るんだよ? わかった?」

「うん! わかった!」

「(返事だけはいいんだよなー)じゃ、なんかあったら言ってね。おやすみ」

「はあい! おやすみ!」