パタンと、彼は携帯を閉じた。
「これで、携帯さんに謝らなくても大丈夫か?」
「……十分過ぎると思います」
てか、あなたの周り、みんなキャラ濃いな。
「いや~にしても、お前さんの蹴りは効くな~」
「今頃ですか? 蹴ったのだいぶ前ですよ?」
「ま、目え覚めたわ。ありがとな」
「わかればいいんです」
「さ。続きは明日、あいつの父ちゃん母ちゃんから聞くにして。送ってやるから、お前ら帰るぞー」
「あ! チャリ!」
「じゃあ、チカは乗って帰れ」
「ええ!? チャリも乗せろや!」
「今日はバイクなんです~。残念でした~」
「ずりぃ!!」
「ということで。帰りましょうか、道明寺さん?」
「うむ。良きに計らえ」
「え? なんでそんなに偉そ気?」
その後、残念ながらチカゼは真っ暗の中、自転車で帰っていった。
葵は年季の入った大型バイクに乗せてもらい、ヘルメットを持たされる。
「そういえば。お前さんは、どうしてあんなこと知ってるんだ?」
「正しくは知っているではないです。わたしは推測したまでなので、あれは全て仮定の話です。本当のところは、キサちゃん本人から聞きたいと思ってるので」
「よくそこまで考えが思い至ったな。有り得ないとか思わなかったのか」
「……めちゃくちゃ思いましたよ。自分で思い至ってから、頭おかしくなったかと思いました」
「お前さんの頭はすでにおかしいと思うぞ。このまま警察連れて行こうか?」
「なんでまた警察?! いい加減その流れ止めてくださいよ!!」
「悪い悪い。……それで?」
「話を聞いたんです。チカくんと理事長から。彼らが出してくれたヒントから、まあ推測したって感じでしょうか」
「あの人は……」と先生が呟いている。きっと理事長のことだろう。
「あの人はあの人で、いろいろ考えがあってお前さんに話してくれたんだろうな。お礼しとくか」
「そうしてください。もちろんチカくんにも!」
「ここまで来てくれたしな。それにお前さんも連れてきてくれたし。……お前さんにも感謝してるよ。ありがとな」
そう言って頭をぐしゃぐしゃにされたあと、ヘルメットをズボッと被される。
「明日は8時半に迎えに行くからな」
「いや、もうそれ断れないじゃないですか。まあ、ついて行くに決まってますけど」
「すまんね。またヘタレ発動したら、ぶん殴ってくれ」
「任されましたっ!」



