「チカくんチカくん! わたし聞きたいことがあるんだよ! なんでチカくんは、今から行く場所にいるってわかるのかな? あと、チカくんたちって、みんなよりも早くから仲良かったんだよね?」
「知りたがりさんだなあー。……んーそうだな。今から行くところは、あいつらにとっては大事なところだから。だから、絶対そこにいるんじゃないかって思ってる」
「そっかそっかー!」
「オレらのさ、親同士が仲良かったんだよ。だから、小さい頃からよく遊んでたんだ。あいつは、オレらのことよくお守りしてたみてえ」
「だったらチカくんは、キサちゃんのお父さんとお母さんも大好き?」
「そうだな。あいつらの父ちゃんと母ちゃんの方が、オレは好きだな」
「(……あれ?)それは彼も一緒かな」
「あ? まあそうなんじゃねえの。キサんとこには、オレらすっげー可愛がられたし。ていうか、ありゃ異常だな」
「い、異常?」
「ああ。これでもかって言うくらいいろんなこと教えてくれたり、いろんなとこ連れてってくれたり、たくさん遊んだし、たくさんご飯食べたりした。オレは、自分の家にいるより、あいつん家にいた方が多かったな、多分」
「そっか! みんながみんな仲良しなんだね! 今の話を聞いて確信した! 絶対彼らに届くよ! 諦めの悪いわたしたちの気持ち!」
「……それはそうと、オレもお前に聞きたいことあるんだけどよ」
「お! 何かね? 聞いてくれたまえ!」
「オレな~? 覗きはよくないんじゃないかと思うんですけどー、お前どう思いますかねー?」
「……覗き、とな……?」
「ああそうか。お前はいいと思ってるからしたんだよなー。そうだよなー」
「い、いやいや! あれは不可抗力だって! たまたま通りかかったら中にいてさ! 会話の内容とかちょっとしかわかんなかったし!(※後は推測)それにチカくん頑張ってると思ったからわたしはすぐそこから立ち去っ…………あ」
「そっかそっかー。やっぱり覗いてくれちゃってたんですねー。プライバシーの侵害ですねー。やっぱりお前はこのまま警察さんにお世話になろうかねー」
「ええ?! いやだよ! やめてよ! ていうか、何故バレた?!」
「そりゃお前、あの教室来た時点で思うだろ。滅多に使わない空き教室に放課後誰がいるんですかー」
「行った時点でバレてたのか」
「……ま、それでもオレは覗かれたのがお前でよかったと思うよ。じゃないとお前は、わからなかったろ?」
「そうだね。それでもある程度は予想してたから大丈夫だったと思う! わたしは、どうあっても君の背中を押していただろうさ!」
「そうですかそうですか。それはアリガトーゴザイマス」
「ええ!? なんで棒読み!?」
「はははっ!」
チカゼは、何故かとってもご機嫌だった。
だったらまあ、いいんだけども。
「(オレが頑張ってる姿、ちゃんとこいつは見ててくれたんだな)……ははっ」
「ど、どうしたんだチカくん!? 頭壊れた!?」
「ちっげーよ! ただ、お前はちゃんと、オレの誓いを覚えててくれてたんだと思って、嬉しかっただけ」
「そんなのあったりまえだっ!」
そうして、二人して笑い合った。
もう彼に迷いはない。
頑張って、届かせろよ。
ちゃんと――……見てるからさ。



