すべてはあの花のために①


「……やっぱり、お前すげーわ。オレが……オレ()がこんなになっても、まだ諦めてないんだもんな」

「チカくん……」

「大丈夫だ。……オレはできなかったかもしれねえ。あいつには届かなかったかもしれねえ。でも、まだあいつは何もしてない。だからお前は、オレのところに来て、あいつのいるところを聞きに来たんだ。そうだろ? それもちゃんと、オレはわかってるつもり」


 チカゼは、葵の方は手を伸ばす。
 ――――だから、一緒に行ってくれと。


「(大丈夫だチカくん。彼女には、きちんと届いてるよ)」


 じゃないと、あんなことはしないだろう。
 葵もチカゼの方へと手を伸ばす。


「一人でね、なんとかしようと思わなくていいんだ。頼ったっていいんだよ。だからわたしが、君の背中を押すよ。わたしが、君の力になるよ! 一緒に彼へ届かせよう!」


 そして葵は、しっかりと彼の手を掴み、引っ張り起こ――――

 ぐい!
 ひょ~いっ
 どーんっ!!


((ごめんなさい。あんたたちさっきから何してるの。今、めっちゃいいシーンじゃなかったの))


 チカゼを引っ張り起こそうとした葵さん。
 何故か襟元を掴まれ、お腹に片足も添えられて、後ろにぽ~いっと放り投げられてしまったのだった。

 これまた綺麗な巴投げですこと。


「~~っ。いったいなあ! 何するんだ! さっきのめっちゃいいセリフ返せ!」

「えー。オレだって痛かったもーん。おまけにこっちはビンタまで食らわされたんですけどー」

「いや、だからそれはすまなかったって……」

「謝って済む問題ですかねー。だったら警察いらないんですけどー。あ、でも変態を捕まえるのには必要か」

「い、いやだよ! 警察さんのお世話にはなりたくないよっ!」

「冗談に決まってんだろ。……これは、さっきの仕返しだ」

「な、なんだとっ!?」

「背負い投げはしなくてよかったと思うんだよなー」

「それはそうかもしれないが……」

「でもビンタはマジで効いた。……活入った」

「ほ、本当? それはよかっ」

「だからこれは、オレからそのお礼だ」