「……やっぱり、お前すげーわ。オレが……オレらがこんなになっても、まだ諦めてないんだもんな」
「チカくん……」
「大丈夫だ。……オレはできなかったかもしれねえ。あいつには届かなかったかもしれねえ。でも、まだあいつは何もしてない。だからお前は、オレのところに来て、あいつのいるところを聞きに来たんだ。そうだろ? それもちゃんと、オレはわかってるつもり」
チカゼは、葵の方は手を伸ばす。
――――だから、一緒に行ってくれと。
「(大丈夫だチカくん。彼女には、きちんと届いてるよ)」
じゃないと、あんなことはしないだろう。
葵もチカゼの方へと手を伸ばす。
「一人でね、なんとかしようと思わなくていいんだ。頼ったっていいんだよ。だからわたしが、君の背中を押すよ。わたしが、君の力になるよ! 一緒に彼へ届かせよう!」
そして葵は、しっかりと彼の手を掴み、引っ張り起こ――――
ぐい!
ひょ~いっ
どーんっ!!
((ごめんなさい。あんたたちさっきから何してるの。今、めっちゃいいシーンじゃなかったの))
チカゼを引っ張り起こそうとした葵さん。
何故か襟元を掴まれ、お腹に片足も添えられて、後ろにぽ~いっと放り投げられてしまったのだった。
これまた綺麗な巴投げですこと。
「~~っ。いったいなあ! 何するんだ! さっきのめっちゃいいセリフ返せ!」
「えー。オレだって痛かったもーん。おまけにこっちはビンタまで食らわされたんですけどー」
「いや、だからそれはすまなかったって……」
「謝って済む問題ですかねー。だったら警察いらないんですけどー。あ、でも変態を捕まえるのには必要か」
「い、いやだよ! 警察さんのお世話にはなりたくないよっ!」
「冗談に決まってんだろ。……これは、さっきの仕返しだ」
「な、なんだとっ!?」
「背負い投げはしなくてよかったと思うんだよなー」
「それはそうかもしれないが……」
「でもビンタはマジで効いた。……活入った」
「ほ、本当? それはよかっ」
「だからこれは、オレからそのお礼だ」



