「じゃあ聞こう、チカくん。君はわたしに、誓ってくれたね」
【オレは諦めない。相手に届くまで】
「その誓いを、まだ諦めてはいないか」
お前は何を言っているんだと、やれることはやってきたんだと。もうあいつは、ここにはいないのに……と。
きっと、そんなことを思っているんだろう。彼の顔が瞳が、そう言っているから。
「(でもその前に、わたしがもう我慢の限界だっ!!)」
離れていた距離を、葵は一気に詰める――!
バッチーンッ!
――ガシッ!
ダアアンッ!
((……このシリアスな展開から、どうしてこんなことになるのよ……))
説明しよう。
距離を一気に詰めた葵は、彼の頬を強くビンタし、胸倉を掴み上げて立たせ……それはもう、思いっきり背負い投げを食らわしてやったのだ。
仕掛けられたチカゼは、一体何が起こったのかと目をパチパチして固まっている。
((そうでしょうよ。こっちもびっくりしたんだから))
しかし、当の葵は上からチカゼを見下ろしていた。その目は、とても怒りに満ちている。
「あ。ごめんチカくん」
「え? いや…………え?」
どうやら、正気に戻ったらしい葵が謝ってくるが、もうチカゼはわけがわからない。
何故なら葵の瞳に、怒りが十二分と残っているから。
「やっぱりわたしは、どうしても言葉より先に身体が動いてしまうみたいだ。ははは」
葵は静かに笑う。どこかで聞いたような台詞とともに。
「さあチカくん? どうしてわたしが、ここまで来てそして怒っているのか。君はもう、わかっているんじゃないのか」
顔はにっこり笑顔。でも笑ってない。
目がめちゃくちゃ怒ってて、笑顔なのが余計怖さを引き立たせてるんですけど。
「……そうだな」
けれど、もうそれを知らない彼じゃない。



