すべてはあの花のために①


「じゃあ聞こう、チカくん。君はわたしに、誓ってくれたね」


【オレは諦めない。相手に届くまで】


「その誓いを、まだ諦めてはいないか」


 お前は何を言っているんだと、やれることはやってきたんだと。もうあいつは、ここにはいないのに……と。

 きっと、そんなことを思っているんだろう。彼の顔が瞳が、そう言っているから。


「(でもその前に、わたしがもう我慢の限界だっ!!)」


 離れていた距離を、葵は一気に詰める――!

 バッチーンッ!
 ――ガシッ!
 ダアアンッ!


((……このシリアスな展開から、どうしてこんなことになるのよ……))


 説明しよう。
 距離を一気に詰めた葵は、彼の頬を強くビンタし、胸倉を掴み上げて立たせ……それはもう、思いっきり背負い投げを食らわしてやったのだ。

 仕掛けられたチカゼは、一体何が起こったのかと目をパチパチして固まっている。


((そうでしょうよ。こっちもびっくりしたんだから))


 しかし、当の葵は上からチカゼを見下ろしていた。その目は、とても怒りに満ちている。


「あ。ごめんチカくん」

「え? いや…………え?」


 どうやら、正気に戻ったらしい葵が謝ってくるが、もうチカゼはわけがわからない。
 何故なら葵の瞳に、怒りが十二分と残っているから。


「やっぱりわたしは、どうしても言葉より先に身体が動いてしまうみたいだ。ははは」


 葵は静かに笑う。どこかで聞いたような台詞とともに。


「さあチカくん? どうしてわたしが、ここまで来てそして怒っているのか。君はもう、わかっているんじゃないのか」


 顔はにっこり笑顔。でも笑ってない。
 目がめちゃくちゃ怒ってて、笑顔なのが余計怖さを引き立たせてるんですけど。


「……そうだな」


 けれど、もうそれを知らない彼じゃない。