理事長は考え込んでいた。
やっぱり、これは難しいか。でも……。
「……君は、それを知ってどうする。ぼくはそこまで教えようと思ってはいなかった。君も、最初はそうだったんじゃないのかい」
「確かにそうですね。けれど、あの人と話をするのに、少し必要なことかと思っただけなので。他にどうしようとか、そんなことは思っていません。無理なら結構です」
「いいよ。ただし教えるのは、関連するキーワードだけだ。それでいいかい?」
「! はい。大丈夫です」
「それじゃあ言おう。それには――――」
【幼馴染み 異常な愛情 家族 血】
「ここまでかな」
「ありがとうございます」
物騒なものがある。まだこれは、理事長に聞く必要があるな。
「その、家庭の事情があってどうかなと思ったんですけど。彼女の家族と、婚約者の家族同士は、仲が悪いですか。あと、彼女は自分の家族が嫌いですか」
これは確信がない。そんな気がするだけだし、そうであって欲しくない願望も入ってる。
「そうだね……」
彼は考えるように、顎にそっと手を添えた。
「彼女の両親と婚約者の両親は、仲が悪いとは聞かないね。それから、彼女は両親を」
【異常なほど愛し過ぎている】
「これでいいかな?」
ああ、わかりやすく言ってくれた。
やはりあなたは、優し過ぎるよ。
「(だって、こんな願いを、わたしに託すんだから)」
だんだんと話が繋がってきた。
花びらが一枚ずつ開くように、自分の考えと答えが一致していくのがわかる。
「はい、ありがとうございます理事長」
けれど、花は満開にはできないだろう。
それは、彼女から直接聞くべきだ。



