すべてはあの花のために①


 理事長は考え込んでいた。
 やっぱり、これは難しいか。でも……。


「……君は、それを知ってどうする。ぼくはそこまで教えようと思ってはいなかった。君も、最初はそうだったんじゃないのかい」

「確かにそうですね。けれど、あの人と話をするのに、少し必要なことかと思っただけなので。他にどうしようとか、そんなことは思っていません。無理なら結構です」

「いいよ。ただし教えるのは、関連するキーワードだけだ。それでいいかい?」

「! はい。大丈夫です」

「それじゃあ言おう。それには――――」


【幼馴染み 異常な愛情 家族 血】


「ここまでかな」

「ありがとうございます」


 物騒なものがある。まだこれは、理事長に聞く必要があるな。


「その、家庭の事情があってどうかなと思ったんですけど。彼女の家族と、婚約者の家族同士は、仲が悪いですか。あと、彼女は自分の家族が嫌いですか」


 これは確信がない。そんな気がするだけだし、そうであって欲しくない願望も入ってる。


「そうだね……」


 彼は考えるように、顎にそっと手を添えた。


「彼女の両親と婚約者の両親は、仲が悪いとは聞かないね。それから、彼女は両親を」


【異常なほど愛し過ぎている】


「これでいいかな?」


 ああ、わかりやすく言ってくれた。
 やはりあなたは、優し過ぎるよ。


「(だって、こんな願いを、わたしに託すんだから)」


 だんだんと話が繋がってきた。
 花びらが一枚ずつ開くように、自分の考えと答えが一致していくのがわかる。


「はい、ありがとうございます理事長」


 けれど、花は満開にはできないだろう。
 それは、彼女から直接聞くべきだ。