▷①申し訳ないけど見て見ぬ振りをさせてもらう
②近くの大人へ助けを求める
③助けに入る
「(……うん。①番は流石に良心が痛むから、ここはやっぱり無難な②番で行くべきかな! よし! そうと決まれば!)」
少年を助けるべく、誰か強そうな人はいないもんかね~と。その場から離れて助けを求めようとした、その時だった。
「おい! 何とか言えやゴルゥアア!!」
「――!」
その連中を仕切るボスっぽい男が、中学生の胸倉を荒々しく掴み、殴りかかろうとしていたのだ。
――大変だよ!
急いで誰か助けを呼ばないと!
一般人ならば、そこで慌てながらも大きな声で助けを呼ぶことをしただろう。そう、普通の一般人なら。
「(ん?)」
だが、しかしだ。
皆さんもうよくおわかりでしょうが、葵は普通の女子高生ではありません。
「(んんん?! いや、……いやいやいや。ちょ、待っ。あ、あれは……)」
変人の彼女の頭の中には、助けを呼ぶこと以上に大切なことが駆けずり回っていたのです。
「(めっちゃくちゃ可愛いんですけども!?)」
実はこの子、可愛いものに本っ当に目がありません。特に小動物系。一種の病気だと思います。
どうやら、胸倉を掴まれた拍子に今まで陰になってよく見えなかった少年の顔が、ハッキリと葵の目に映ってしまったのでしょう。
「(なにあの子! まるでウサギさんなんですけど?!)」
そうこうしているうちにあの少年、殴られそうになってますけど、いいんですかね?
「(はーい。選択肢変更ー)」
①申し訳ないけど見て見ぬ振りをさせてもらう
②近くの大人へ助けを求める
③助けに入る
▶︎❹ぶっ飛ばーす♡
鞄と上着を脱ぎ捨てて。葵は、薄暗いビルの隙間へと駆けていったのだった――――。



