しばらく沈黙が続いた。葵を含め、みんなは彼女が言ったことを上手く、理解できなかったのだ。……一人を、除いて。
恐らくチカゼは、昨日のうちに聞いていたんだろう。
動揺は見せていない。それどころか、彼の感情が一切見えなかった。
「……キサちゃん? それって一体どういう……」
「圭撫。そのまんまの意味。どうしても家の事情で学校辞めなくちゃいけなくなってねー」
「嫌だよそんなの! きさチャンいなくなるなんて、寂しいよお!」
「!!」
「ありがとう茜、桜李。結構急に決まっちゃったし、みんなに言いづらくてさ。こんなギリギリになっちゃった」
「……アンタはそれでいいの。後悔してないわけ」
「いやー翼と毎年いろんな競争(※美貌関係)できなくなるのは、非常に残念なんだけどねー」
「キサがいないとチカの世話どうするのさ」
「なになに~? 寂しいって、素直に言いなさいよ日向~」
「お前がちゃんと考えて出した答えなら、俺は何も言わない」
「……ありがとね、秋蘭」
信じられなくて、声も出せなくて。葵は、動くことすらできなかった。
「(っ、だめだっ。このままじゃ……っ)」
このままじゃ、君も。彼女も。ここにいない彼も、前に進まない。止まったままだ。
「(どうすればいい。どうすればっ)」
「会議の前にごめんね! 少しでも早くみんなには言っておかないとってチカにも言われたから、朝会ったら言おうって決めてたんだ! だから、いつまでになるかはっきりわからないんだけど、それまでよろしくねっ」
もう、この話は終わりだと。彼女は歓迎会についての会議を始めるよう、アキラを促した。
葵も、この時どうすればよかったのか。判断できないまま動けなかったので、そのまま彼女に流されるまま、会議に参加せざるを得なかった。



