すべてはあの花のために①


「ちょっと! アンタなんであんな言い方したの!」

「あおいチャン……」


 ツバサは葵を見下ろしながらそう責め立てる。アカネをはじめ他の人は、怪訝な顔で葵を見ていた。……一人を除いて。

 葵は、目で合図を送る。


「(行って。諦めるな)」

「(さんきゅ)」


 チカゼはさっと立ち上がり、急いで彼女のあとを追っていった。


「えっ、チカちゃん?」


 カナデをはじめ、みんなはいきなり生徒会室から出て行った彼に驚きを隠せない。



「……さーてと! 今日はもう会議どころじゃないよね? 今日はお開きでいいかな、アキラくん」

「そうだな、また明日にしよう。でもあまり時間はないから、明日は朝から企画を詰めていくことにする」

「了解っ! それじゃあわたし、今日は帰るねー! お先に~」


 そう言って葵も生徒会室を後にする。
 葵の変わりように、残されたみんなは一体どうしたのだろうかと、顔を見合わせていた。