すべてはあの花のために①


「ていうかさ、それって生徒会が勝手に決めてるってことなんだよね?」

「そうだけど、なんか問題があったかしら」


 いつの間にか泣き止んでいた葵がふと、そんな質問をする。その返答をしたツバサはもちろん他のみんなも、それが? って顔で首を傾げていた。


「え? 問題大アリじゃん! まず、今は何の会議中ですか?」

「はいっ!」

「はいカナデくん!」


 いつの間にか細めのメガネを着用し、指示棒を持っている葵先生が、綺麗に片手を挙げ、もう片方は挙げた方の脇を隠しているカナデを当てる。


「今は旅行先を決める会議中ですアオイ先生!」

「違いますカナデくん。ページ遡って復習してきなさい」

「(俺の扱いっ!)」

「はい先生!」

「はい。なんですかアカネくん」

「これは、新入生歓迎会の旅行先を決めていますっ」

「その通りです! さすがアカネくんですね! 後で先生が持っている飴ちゃんをあげましょう」

「わ~い!」

「(つんつん)」


 オウリが上目遣いで葵の服を引っ張る。


「――!! ……可愛いのでオウリくんにもあげましょう」

「♪♪」

「(飴!?)葵先生!」

「なんですか、アキラくん。残念ですがあなたに飴はあげません」

「……(しゅん)」


 どんだけ甘いもの好きなのよ。


「ごほん。話を戻しますね。さっきアカネくんが言った通り、これは新入生のための会議なんです。それなのに何故! 勝手に生徒会メンバーだけで決めようとしているんでしょう!」

「って言ってもよー、どうするって言うんですかー、アオイせんせ?」

「(な、名前!)そ、そうですね、チカくん。そこをどうすればいいのかを考えるところからが会議だと思ってますよ! わたしは、新入生であると同時に生徒会の一員でもある君たちにも、しっかり考えて欲しいと思います」


((始めて名前呼ばれたっ! ……って、喜んでるところ悪いけど、ツンデレにゃんこは一回すでに呼んでるからね))

「(ええ!? いつ!? いつ呼んでくれちゃったんですか?!)」

((自分で探しておいで))

「(意地悪~~!)」


 そうこうしている時に、新入生のオウリ、チカゼ、ヒナタは目を合わせてはいるが、お互いを見ながら首を傾げている。


「(え。何この状況……)」


 小動物たちが首を傾げておる。いつもの悪魔くんも、今は可愛く見えるぞいっ!


「はーいセンセー」

「はい。いい案が浮かびましたかツバサくん?」


 なんて珍しい。彼がこのノリに入ってくるなん、


「色仕掛けします」

「意味がわかりません。そして面白くありません。却下です」

「(むうっ)」


 男の子だってわかってる。
 けどなんだ、この可愛さは。色気は。本気で分けて欲しい。


「はーい」

「……な、なんですか、ヒナタくん」


 電波が悪いのか、機嫌が悪いヒナタも一応参加す、


「脅す」

「やめてくださいあなただと冗談に聞こえないので。なんですか。そのスマホ使って悪質なメールでも電話でもしようと思っちゃってるんですかねーこの子は」

「チッ」


 舌打ちですか!? 何故にキレられないといけないんですか?!