「あ、あんた、何者よっ!?(気持ち悪っ!)」
「ひょう。わらひは人呼んで、ひゃひゅらいのヒーロー……。ひゃひゅらのあっひゃんほは、わらひのほろりゃあー!」
「わっかんないわよ!!」
……うん。ストッキング引っ張りながら喋ってるから、全然言えないんだね。
「でぁきゃら、早きゅ、ひょきょのおてぉきょのきょきゃらはなれなひゃいよっ!」
(※訳→だから、早く、そこの男の子から離れなさいよっ!)
((気付いてないみたいだから教えてあげるけど))
「(ふえ? 何を?)」
((何言ってるかさっぱりわかんないから、今あんたの台詞、字幕出てるから))
「(え?! なんかかっこいい!!)」
((かっこよかないわよ!))
「(しゅん……)」
「……?(なんか元気なくなった)……――! っ、ヤワラちゃん! 今よっ!」
ショックを受けている葵にチャンスだと思ったのか。ヤワラは一直線に葵へと向かって駆けていく!
【残り時間……あと7分】
「(ハッ! 笑ってる場合じゃなかった!)お、おい! そいつはやべー! 逃げ――……っ!?」
笑いがなかなか止められなかったチカゼだったが、ヤワラが動いたことで正気を取り戻し、葵に逃げろと言いかけたが。
「でりゃあぁああっ!!」
綺麗な巴投げを仕掛けられたヤワラがいたので、心配して損したと心底思った。
その後の行動は早かった。
まさか投げ飛ばされると思ってなかったヤワラは、きちんと受け身を取れず放心状態。
さすらいのあっちゃんは、他の女子たちのスカートを勢いよく捲って、「キャアッ!?」ってなっているところを、同じくその行動に「わあああ!?」って言いながら慌てて両手で目を塞いでいるチカゼを引っ張り起こし。
もう、わけがわからなくなっているチカゼは、片手で顔を押さえてなんとか笑いを堪え、変態救世主に引っ張られながらそのまま猛ダッシュでその場から退散したのだった。
【残り時間……あと6分】



